ホームDIY・ものづくり選挙カーを作ろう・設計編 第1回

選挙カーを作ろう・設計編 第1回

夜間に撮影されたスズキ・ラパンの選挙カー。屋根の上に大型の発光看板を載せ、「小泉しゅうすけ」と書かれた選挙用ボードが明るく点灯している。
スズキ・ラパンに載せた発光式の選挙カー看板。夜でも強い視認性が確保できる。

はじめに

選挙カーは、選挙活動の象徴でもある。街中を走り、候補者の存在を知らせ、夜間には看板代わりの光を放つ。私はこれまで何台も街宣車を作ってきたが、そのたびに「もっと良い形があるはずだ」と思い続けてきた。
今回、スズキのエブリィ(DA64型)をベースに、きちんとした構造と安全性を備えた選挙カーを一から作ることにした。これまでの経験で学んだこと、反省点、改善点をすべて盛り込んでいくつもりだ。
この記事では、その設計の第1歩から順番に記録していく。街宣車づくりに興味がある人や、自分で作ってみたい人の参考になるよう、実際の判断や悩んだポイントも率直に書いていきたい。

スズキ エブリィ DA64V をヤフオクで落札した車両の外観
選挙カー制作のベース車として落札したスズキ エブリィ DA64V。浜松市の個人出品で車検付きの良質車だった。

車選びとこれまでの経験

私の選挙カー制作は、昔使っていたスズキのアルトラパンから始まった。ラパン(HE21S)は後部座席の窓が全開になる。これは選挙カーとして非常に便利で、後ろの席からでも手が振りやすい。

さらに軽自動車には高さ2500ミリという上限があり、車高が低い車ほど看板の高さを大きく取れるという利点がある。ラパンはその点でも扱いやすく、私にとっては非常に相性の良い車だった。

ラパンはこれまでに2台購入している。1台目は12万円、2台目は8万円だった。私の車の仕入れ先は、ほとんどがヤフオクだ。個人出品を狙えば諸経費がかからない。気になる点は必ず質問し、少しでも違和感があれば入札をやめる。上限額は事前に決め、競り合いで気が大きくなって高値を付けないよう自制するのが鉄則だ。

今回のエブリィは人気車種ということもあり18万円になったが、状態も良く、選挙カーに仕立てるには十分だった。

車検切れは特に気にしない。若い頃に改造車の公認車検を専門とする業者で働いていたこともあり、自動車検査場に持ち込んで検査を受けることは私にとっては造作もないことだ。軽自動車は法定費用だけなら車検を取っても4万円でお釣りがくる。

一方で点検整備は、別途懇意にしている整備工場に依頼する。ユーザー車検とはいえ、安全に関わる部分はプロに任せた方が確実だ。必要な整備だけを的確に行ってもらえるので、余計な費用もかからない。選挙カーづくりでは、このあたりの住み分けが大事だと思っている。

なぜサブバッテリー方式にするのか

ここからが今回の核心となる電源設計だ。昔の選挙カーでは、照明もアンプも全て車両バッテリーから引いていた。車両バッテリーから直接引く方法でも問題は特にないが、メンテナンス時の手間や、消費電流が増えた際にはトラブルの原因となる可能性がある。

今回はきちんとした選挙カーに仕立てたい。照明も多く、夜間の稼働も長時間になる。音出しは20時までだが、看板代わりに光らせておく時間は案外長い。だからこそ車両バッテリーとは独立した電源系統が必須になる。

サブバッテリーにはディープサイクルバッテリーを選ぶ。通常のバッテリーはエンジン始動用で、大電流を一瞬出すことには向くが、長時間の深放電には向かない。一方でディープサイクルは電動ボート、キャンピングカー、災害用電源などと同じで、長く電力を引く用途に適している。選挙カーにはこれが最適だ。

安全のためのブレーカーとキルスイッチ

配線の安全性は妥協できない。今回はヒューズを使わずに代わりにサブバッテリーのプラス端子のすぐ横にブレーカーを設置する。バッテリーターミナルからブレーカーまでの距離は10〜20センチ程度に抑える。距離が伸びるほど短絡事故のリスクが増すためだ。

マイナス側にはキルスイッチを入れる。これは車両からバッテリーユニットを降ろすとき、ワンタッチで電源を遮断できるようにするためだ。プラス側だけを切っても車体との導通で微弱電流が残る可能性があるため、マイナス側も確実に遮断する。選挙期間中の安全運用という点でも、これは必須の設計だ。

コンテナボックスを使った電源ユニット

今回の選挙カーの特徴の1つが、電源まわりをまるごとホムセン箱(コンテナボックス)に収めるという点だ。重いサブバッテリーやリレー類は箱の中に収納する。一方で運用中に触る機器は全て箱の蓋の上に設置する。

蓋の上には以下を配置するイメージだ。

・車両側からの充電入力端子
・ブレーカー
・バスバー(プラス、マイナス)
・アンプ本体
・スイッチ類
・電源の取り出し端子

つまり蓋そのものが操作パネルとして機能する。蓋を開けなくても全ての接続と操作が行えるため、選挙期間中は一切蓋を開ける必要がない。唯一のメンテナンスは内部のサブバッテリーの点検だけで、それも数か月に1度で十分だ。

配線の太さについて

ブレーカーからバスバーまでは5.5sqで引く。これは幹線なので太く強い配線が必要だ。一方で照明やアンプに向かう支線は1.25sqから2sqで十分だ。太すぎれば取り回しが悪くなるし、細すぎれば発熱の原因になる。必要電流に応じて最適な太さを選ぶのがポイントだ。

照明用のメインラインは5.5sqのまま屋根の上に引き上げ、そこで1.25sqに分岐し、各LEDチューブへと配線する。

今回の設計の方向性

ここまで書いた設計は、選挙カーというより「持ち運べる街宣電源ユニット」に近い。車種を変えてもそのまま載せ替えられ、メンテナンスも容易で、夜間の長時間点灯にも十分耐える構成になっている。

次回は、看板フレームの作り方へ進んでいく予定だ。DIYで選挙カーを作るシリーズの第1歩として、今回は電源設計の全体像を書いてみた。続きを読みたい人は、ぜひ気長に付き合ってほしい。

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