災害用トイレトラックの購入議案を総務委員会で採択

議案第百二号「災害用トイレトラックの買入れについて」を総務委員会で審査し、採択すべきと決定した。私が所属する立憲民主ネットの総務委員も賛成に回り、委員会としては賛成多数となった。
結論:採択には至ったが、内容にはなお検証すべき課題が残る
今回の議案は最終的に採択となったが、調達の妥当性やスキームの持続性には判断材料が不足している部分がある。委員会で賛成に回った立場ではあるが、課題として指摘すべき点を以下に整理する。
随意契約の根拠が十分ではない
今回のトイレトラックはおよそ2647万円という大きな金額での調達であり、通常であれば複数事業者による見積り比較や競争性の確保が期待される規模だ。市側は、災害時のトイレ支援ネットワークに加盟するためには、この団体から購入する必要があるという説明をしている。しかし、ネットワークという付加価値を理由に随意契約とするのは私の知る限り初めてであり、仕様書を確認しても他社と比較するための情報は示されていない。ネットワーク参加を前提とした随意契約が本当に妥当なのか、調達の在り方として慎重な検証が必要になる。
ネットワーク加盟の持続性が見えない
今回の購入によって、武蔵野市は災害時のトイレ支援ネットワークに加盟することになる。市の説明では、購入後の会費負担などは生じないという。しかし、会費なしで全国規模のネットワークがどこまで持続できるのか、その財源構造は明らかではない。災害トイレネットワークは車両の販売を前提に拡大する仕組みになっている。自治体への販売が途切れれば、その時点でネットワークは維持できなくなる。会費が存在しない以上、車が売れなければ事務局の運営は継続せず、ネットワークそのものが破綻する構造を抱えている。
公式サイトでは「全国1741市区町村が1台ずつ備え、災害時には全国から駆けつける」というビジョンが掲げられている。しかし現実には、加盟自治体はごく一部にとどまり、全国規模の支援網として成立しているとは言い難い。導入実績も限られており、運営体制や財源の持続性も不透明なままだ。理念としては理解できるが、現実の規模と運用は理想図とは大きく乖離している。
大規模災害時に実際の支援が届くのかは不透明
東日本大震災級の広域災害を想定すると、トイレトラックの支援が武蔵野市にどの程度届くのかは現時点では見通せない。関東全域が同時被災する規模の地震であれば、近隣自治体からの協力は期待しづらい。遠隔地の車両が道路寸断を乗り越えて到着するには時間がかかる。公式サイトにも、どの災害で何台が派遣され、どれほどの時間でたどり着いたのかという具体的な実績は示されていない。ネットワーク加盟が実際の災害対応力の向上にどこまで寄与するのかは、慎重な検証が必要だ。
迅速さは必要だが、説明を省いてよい理由にはならない
市長がこの案件を肝煎りで進めたようで、「最速でやれ」という強い指示が市内部に出ていたと聞いている。しかし、行政トップの指示があったとしても、それが議会への説明責任を省いてよいという免罪符にはならない。迅速さと丁寧さの両方を確保することは行政の基本であり、急ぎの案件であるほど、議会に対して正確で十分な情報を提供することが求められる。
今後の検証と決算での確認が不可欠
委員会としては賛成多数で採択したが、調達過程の透明性、ネットワークの持続性、災害時の実効性など、確認すべき点は残されている。今後の決算審査で、今回の議案の実施状況と効果を丁寧に検証していく必要があるだろう。必要に応じて改善や見直しを求めていく。
関連リンク
令和7年第4回定例会提出議案一覧
一般社団法人助けあいジャパン


