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行政視察 市民投票制度について 総務委員会

生駒市では平成26年6月に生駒市市民投票条例が制定された。今回はその中身やそれまでの経緯についてのお話を伺った。

条例制定に向けた起点は平成14年2月。学研高山地区第2工区の開発に対し、市民の会が結成され、同開発に関する住民投票条例制定運動が開始されるた。

同開発に関する住民投票条例の制定を求める直接請求が行われ、平成15年11月の臨時議会に住民投票条例(案)が提出されたが議会で否決。

平成18年1月、学研高山地区第2工区の開発の白紙撤回を掲げた新市長が当選。公約通りに計画は白紙に。

これ以降、新市長のマニュフェストに常設型住民投票の制度策定等が掲げられるようになった。

平成21年6月には自治基本条例(案)が全会一致で可決され、制定された。

市長改選(二期目)を経て平成22年2月、市民自治推進会議にて基本的な事項を検討。庁内検討プロジェクトチームで素案を作成し推進会議と連携し、条例(案)を作成。

平成22年11月、住民投票条例設置に向けたパブリックコメントを実施、1641名より意見が集まった。

パブリックコメントの結果
意見提出状況:1641名(うち市民189名)
       うち、パブリックコメント手続きに基づく意見 977名
       その他手法(問い合わせメール、電話、携帯メールなど)による意見 644名
パブリックコメント等の意見において、市民投票条例は、外国人参政権と同じであり、憲法違反との抗議意見が多数あった。コピペと思われる同じ文面の抗議文も多数。

市長改選(三期目)を経て、平成26年6月定例会において、条例(案)が賛成多数で可決した。

生駒市の市民投票制度

市民投票条例
市政の重要事項について、直接市民の意見を確認する制度として市自治基本条例に規定する市民投票の実施に関し、必要な事項を定めて条例化(平成26年6月制定 平成29年4月施行)

投票制度の概要
投票の対象
市民の福祉に重大な影響を与えるものまたは、与える可能性があるもの。
投票資格者
満18歳以上の日本人と定住外国人(永住者・特別永住者)で、それぞれ引き続き3カ月以上、本市の住民基本台帳に記録されている者。
永住者以外の在留資格により滞在する定住外国人で、引き続き5年を超えて市の住民基本台帳に記録されている者。
投票の請求・発議
市民、議会、市長の三者が請求、発議が出来る。
市民の請求は、投票資格総数の1/6以上の署名が必要。
議会は、議員定数の1/12以上の賛成により提案、且つ出席議員の過半数の議決が必要。
市長は自ら発議が出来、事案に応じて市民自治推進委員会に意見を求める。
投票の結果を尊重
賛否いずれか過半数の結果が、投票資格者総数の1/4以上の時、議会、市長は投票結果を尊重しなければならない。
常設型の市民投票
市民投票には「常設型」と「個別型(非常設型)」の二種類あり、生駒市は「常設型」として行なっている。
市民投票システムを構築
いつ実施されても対応できるように、名簿作成、管理システム及び投票システムを構築 ※令和4年度からは予算化せず都度補正予算で対応
事務遂行
「生駒市市民投票に係る事務の委任に関する規則」で、事務は選挙管理委員会へ事務委任している。


武蔵野市の住民投票条例をめぐっては、市内各所で様々な活動が行われたことは記憶に新しい。

大勢の外国人が転入し、行政や議会を選挙で牛耳られるといった懸念も参議院議員から示された。

実際には15万人のところに8万人が流入した場合は11万5000人が半数となるので、そもそも計算が誤っているのだが、それはさておき条例施行後に外国籍市民が増えたかどうかを生駒市で伺ったところ、回答は「増えている」とのことだった。ただし、日本全体でも外国人が増加傾向にあり同様の傾向程度。自然増と判断できる範囲での増加とのことだ。

市民投票制度は施行から10年が経過するが一度も使われていないとのこと。これまで市民投票制度が使われていないということは、行政が市民の声にしっかりと耳を傾けているとも判断できるかもしれない。

使わない制度を作る必要があるのか、または本当に必要な時に住民から発議できる最終手段を確保しておく必要があるのか。現在、武蔵野市では住民投票制度に関する有識者懇談会が開かれている。懇談会の行方を見守りつつ最善の選択を模索していきたい。

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