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行政視察 豊田市子ども条例 豊田市

武蔵野市議会文教委員会の行政視察で愛知県豊田市の豊田市子ども条例について伺った。

愛知県豊田市では子ども条例制定を平成17年2月に策定した次世代育成支援行動計画の重点事業に位置付け、市民を含めた検討組織を設置し、また子どもの意見を反映させるための子ども委員(中高生)を公募するなどを経て、2年間に渡る検討で3回のパブリックコメントの実施や住民懇談会の開催。市民意見の聴取にも積極取り組み、豊田市子ども条例案を平成19年9月の市議会に提出。審議の結果、全会一致で採択された。

武蔵野市でも子どもの権利条例の検討がなされていることから、先進事例として制定に至るまでの過程や制定後に変わったこと、豊田市子ども条例の考え方などを伺った。

■ 子どもの権利条約との整合性は?

基本的には子どもの権利条約の考え方に基づき、4つの権利などの条文を構成している。その上で、子どもの意見を参考にするなどして、より良いものになるよう考え方を変えている部分もある。主な変更点は次の通り。

「子どもの権利条約」をユニセフでは、「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」の4つの権利に整理しており、当初はそれを踏襲する予定であったが、子ども委員から「子どもが”守られる”というよりも、子ども自身が主体となった表現で保障のあり方を示すべき」という意見が強く聞かれたことを受けて、子どもを主体とした表現で権利を表すことを基本とした。

「子どもの権利条約」第6条には「生命に対する権利」が規定されているが、それは生命・生存ということに焦点を絞ったものである。条例では、それらをより広く捉え、単に子どもの生命が守られるだけではなく、安全や健康、気持ちなどのあらゆる側面に関してより良い環境が用意され、安心して生きることができる権利が保障されることを示している。

「子どもの権利条約」においても、「意見を表す権利」、「思想、良心及び宗教の自由」、「休息、余暇及び文化的生活に関する権利」などが定められているが、子どもの内面や生活時間の自由といったことに関する「自分らしく生きる権利」の存在を示し、その具体的な内容を整理した。

「子どもの権利条約」が保障する4つの権利の一つで、条約では「意見を表す権利」、「表現の自由」、「思想・良心・宗教の自由」、「結社、集会の自由」として規定されているものを条文として規定した。

■ 乳幼児に関して、条例制定時における議論と条例に活かされている事項は?

条例第8条で規定されている参加する権利第1項の「自分の気持ちや考え方を表明すること」第2項の「気持ちや考えが尊重されること」について、条文起草の当初は「意見」という言葉にすることも考えられていたが、「意見」というきちんとまとめられた主張を意味して限定的に捉えられがちであるので、まとまりきらないぼやっとした気持ちや考えも含めて、より広く受け止めることが大切という考え方「気持ちや考え」という言葉で表現し、言葉の表現が難しい乳幼児期の子どもの気持ちを受け止めることにつながっていると考えている。

■ 条例における「育ち学ぶ施設」の考え方は?

条例第2条において、「育ち学ぶ施設」とは「子どもを対象とする学校教育施設、社会教育施設、児童福祉施設など」と規定されているが、これは子どもを対象にしていればあらゆる施設を含むことを意味している。

社会教育施設は必ずしも子どもを主たる利用者として想定するものではないが、できるだけ幅広く定義するという観点から含めている。
「など」としたのは、放課後児童健全育成事業など、これらの施設に当てはまらなくても、子どもの対象としていればすべて「育ち学ぶ施設」とすることからである。

■ 条例制定後の全庁的な考え方で制定前と変わった点は?

条例に「子ども会議」、「子ども総合計画」、「子どもにやさしいまちづくり推進会議」を規定し、子どもにやさしいまちづくりを進めるための仕組みについて定めることで、子どもに関する施策が子ども条例の考え方に基づき実施されるための素地がが作られたと考えている。

■ 子どもの条例が教職員、学校や保育所、関わりや変化などは?

子ども条例第12条「子どもの権利の周知と学習支援」に基づき、「子どもの権利学習プログラム」を幼児、小学校1・3・5年生、中学2年生を対象に実施し、子ども条例に規定されている子どもの権利についての周知啓発をしている。現在のプログラム策定には教職員も作業に加わっている。

子どもの権利学習プログラムは、子ども向けの教材と教員向けの指導書のセットになっており、学校の授業の中で教員がプログラムを実施できるようになっている。また、学校の希望に応じて「特別事業」として、子どもの権利擁護医院や子どもの権利相談員が学校で子どもの権利に関する講和を実施することができるようになっている。

また、これに加えて令和元年度から、市内の全中学校で、教員向け研修、生徒向け全校講演会を実施する「子どもの権利啓発事業」を実施している。

「子どもの権利」というと、学校側からの抵抗感があるように捉えられている場合も多いが、権利啓発事業を開始したと当初と比べて、徐々に学校現場において子どもの権利についての理解が深まっていると感じている。そのため、現場に出向き話をしていくことが、理解度の向上に役立つと考えている。

■ 条例制定時に子どもの意見を聴くに至った経緯、子どもの意見を聞くことで大人が考える条例とずれが大きかった部分は?

当初は10人の委員からなる「子ども条例検討部会」を設置、検討部会が主体となって、子ども条例に盛り込むべき内容などを検討・整理する予定であり、条例案の検討において子どものたちの参画については、検討部会において適当な時期に適当な年齢層の子どもたちにヒヤリングを実施する考えだったが、子どもが感じていることと、大人が子どもはこう感じているだろうと思っていることには、多くの「ずれ」があるため、大人の判断だけで条例づくりを進めていきたいという検討部会の強い希望により、「子ども委員」を公募することとなった。

特に「ずれ」が大きかった部分は例えば、条例第6条第5項の「安心できる場所で休み、自由に過ごす時間を持つこと」については、「青少年の生活と意識に関する調査」において、「子どもの権利で大切だと思うこと」として「休む時間や自由な時間を持つこと」という項目が子どもの間で多くの支持を集めていたことを受けて盛り込んだものである。この項目は、保護者や成人市民による支持は少なく、子どもと大人の意識に大きな違いがあることも特徴的な項目であった。

学校を休むことについては、条例で明確に考えを表明している部分はない。

■ 子どもの権利擁護委員の人選はどのようにしているか?

子どもの権利擁護委員は、市の付属機関として設置されている非常勤特別職であり、弁護士や学識経験者等の専門的知識や経験を有する者に委嘱する。

実際の人選については、子どもの権利擁護委員が、自己の退任前に、人格に優れ、子どもの権利、福祉、教育などに関して知識や経験がある子どもの権利擁護委員に相応しいと思う者を子ども部に対して推薦をする。市は、子どもの権利擁護委員を選任するにあたり、その推薦を尊重し選任している。

■ 条例ができて、小学生、中学生はどう思ったか、変わった点は?

現在実施をしている「子どもの権利啓発事業」アンケートでは、生徒からの意見として「意見を言っても良いのだと初めて知ることができてうれしかった」「大人にもこのことを話してほしい」などの意見があり、子ども条例を通じて子どもの権利について知ることで、自分や他人を尊重することに気が付くきっかけとなると考えている。

権利の主体である子どもたちに子ども条例を知ってもらうための学習ノート。年齢に合わせたものが用意されている。

参考リンク
豊田市子ども条例

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