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視察報告 新たな交通インフラサービスとしてのシェアサイクル

 都心部では見慣れたサービスとなっているシェアサイクル。武蔵野市でも少し見かけるようになってきた。そんなシェアサイクルの現状や今後の展望などについてお話を聞かせてもらった。話を伺ったのはHELLO CYCLINGというシェアサイクル事業を展開しているOpenStreet株式会社。業界シェアNo.1の最大手だ。

 従来のレンタサイクルは受付で自転車を借りて出発し。そして最後は出発した場所に戻り返却するというイメージが強い。観光地などでは一般的だ。それがシェアサイクルの場合は、「自宅付近のシェアサイクルステーションで借りて、会社近くのシェアサイクルステーションに返却して出勤する」こんな使い方が可能となる。

 そのために必要なのは借りる場所、返す場所の充実。自治体間を跨いで移動をしても目的地付近にシェアサイクルステーションがなくてはならない。これらの達成のために自治体と協定を結び事業展開を行なっている。自治体によってシェアサイクル事業を展開する目的は様々だが、以下のようなことが期待できる。

回遊性向上
 通勤、通学、買い物、観光等需要についての検証
 住民の移動選択肢を増やし、移動利便性を向上
 来街者増加による地域活性化

交通問題
 交通渋滞緩和
 放置自転車・違法駐輪の削減
 自転車走行レーン設置のためのデータ活用 (自転車の走行GPS軌跡がデータとして活用できる)

SDGs
 自動車への依存低減
 排気ガスを出さない移動手段への転換
 自転車を乗ることによる健康増進

災害時活用
 災害時、緊急時に鉄道等公共交通が停止した際の移動手段としての活用
 自転車バッテリー電力の活用
 公務員の緊急時移動手段としての活用

 この事業者が協定を結んだ自治体はすでに100自治体を超えている。仮に武蔵野市が協定を結んだ場合には市役所や公共施設の敷地の一部、利活用されていない市有地などを貸し出し、そこにシェアサイクルステーションを事業者が設置。設置や維持管理運営コストは全て事業者が負担する。武蔵野市が協定を結び事業を行うとしても予算は必要ない。

 こうしてシェアサイクルステーションが増えることで、他自治体への相互乗り入れなども容易となる。現在、近隣市で協定を結んでいる自治体は練馬区杉並区三鷹市調布市小平市国分寺市。残念ながら武蔵野市、小金井市、西東京市との協定は結ばれていない。

 例えば道路は繋がることで交通網はどんどん便利になっていく。同様にシェアサイクルも繋がることで、交通インフラとして完成していくと考える。武蔵野市も他自治体に遅れを取ることなく進めるべき事業だろう。 

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