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研修報告 国民保護計画 練馬駐屯地

 6月18日、部隊研修に参加する機会をいただき、陸上自衛隊の練馬駐屯地で国民保護計画についての話を伺った。

 有事の際には第1後方支援連隊(練馬駐屯地)の補給隊が武蔵野市に割り当てられている。

 補給隊が所属する第一後方支援連隊は第1師団の隷下部隊で所属部隊の第1整備大隊、第2整備大隊、補給隊、輸送隊、衛生隊で師団の兵站を実施することを主任務としている。一方で陸上自衛隊部隊はそれぞれの管轄にある市区町村を防衛警備や災害派遣の担任する隊区を持ち、第1後方支援連隊は多摩東分区を担任。部隊の中から補給隊が武蔵野市に割り当てられているという仕組みだ。

 補給隊への割り当ては武蔵野市の他に清瀬市、東久留米市、西東京市、三鷹市の合計5市。練馬駐屯地には補給隊の他に本部付隊、第1整備大隊、第2整備大体、輸送隊、衛生隊の合計6部隊が隷下部隊として存在するが、それぞれに自治体が割り当ている。詳細は以下の通り。

第一後方支援連隊 練馬駐屯地

本部付隊
・小平市

第1整備大隊
・国立市
・府中市
・調布市
・狛江市
・多摩市
・稲城市

第2整備大隊
・武蔵村山市
・東大和市
・昭島市
・立川市
・国分寺市

補給隊
・清瀬市
・東久留米市
・西東京市
・武蔵野市
・三鷹市

輸送隊
・東村山市

衛生隊
・小金井市

 上記の19市が多摩東分区として第1後方支援連隊に割り当てられている。第1後方支援連隊の人数は約700人。単純計算でも1市あたり36人という計算だ。これを多いと取るか、少ないと取るか。少ないと感じる人の方が多いのではないだろうか。

 しかし、ここでの人数はあくまで防衛警備や災害派遣における連絡幹部(LOという)や自治体との連携に必要な人員であり、なんらかの人海戦術が必要な対応をするための派遣ではないということがポイントとなる。

 自衛隊の主たる任務は侵略の排除であり、第1後方支援連隊の任務は第1師団の兵站業務だ。つまりは武力攻撃事態となり、国民保護法が適用される状況下においては自衛隊への過度な依存は自治体として立ち行かなくなるリスクがある。国民保護法には自衛隊は余力で自治体が行う国民保護計画を支援するとされている。果たして、そうした有事に自衛隊に余力があるだろうか。

 そうしたことから、国民保護計画は自治体が主役として市民の生命と財産を守るために尽力する必要がある。そのためには平時からの自衛隊との連携訓練、その訓練の中でどうしても自衛隊に頼らなければならないこと、市が独自に対応できることなどをしっかりと見極めておくことが重要だ。

 武蔵野市にも「武蔵野市国民保護計画」が定めてある。北朝鮮がミサイル発射実験を頻発し、ロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにする中で、この武蔵野市国民保護計画の精査、見直し、そして現実的な訓練の実施は急ぎ行うべきだと考える。

  

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