ホーム武蔵野市議会請願・陳情「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書」提出に関する陳情 採択、意見書提出へ

「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書」提出に関する陳情 採択、意見書提出へ

令和6年3月12日の本会議で「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書」提出に関する陳情が採択された。

私も女性に立ちはだかる不当な格差や差別を撤廃することについては、全く異議はなく推進をしていきたいと考えるが、国連の「女子差別撤廃委員会」という組織に疑念がある。

日本は女性差別撤廃条約については批准をしているが、その選択議定書については批准をしていない。選択議定書に批准をすることで次のようなことが可能となる。

  • 権利侵害などに関して最高裁まで争って負けた場合に個人通報を行うことができる。
  • 女子差別撤廃委員会は個人通報に基づき調査、審議を行うことができる。
  • 女子差別撤廃委員会は当事者国に対して意見、勧告を行うことができる。

要するに日本の司法において結論が出されたにも関わらず、それを不服として国連に訴え出ることができる制度だ。訴えを受けた国連は訴えに基づき調査をし、審議を行い、その結果を当事者国すなわち日本政府に対して意見、勧告することができるという制度だ。この意見や勧告には法的拘束力はないため司法権の侵害には当たらないという意見もあるが、最高裁で争ったもう一方が民間企業だったならどうだろうか。国連の組織という金看板を前に萎縮をしてしまうことなども考えられる。

それでも女子差別撤廃委員会が必ず真っ当な意見や勧告を行うという保証があれば一定の理解はできるのだが、「固定観念が引き続き女性に対する性暴力の根本的原因であり、ポルノ、ビデオゲーム、漫画などのアニメが女性や女児に対する性暴力を助長している」と懸念を表明、「差別的な固定観念を増幅し、女性や女児に対する性暴力を助長するポルノ、ビデオゲーム、アニメの製造と流通を規制するため、既存の法的措置や監視プログラムを効果的に実施すること」を要請するなどの過去がある。

マンガ・アニメ・ゲームが、差別的な固定観念を増幅させ、女性や女児に対する性暴力を助長するという根拠、エビデンスは世界中の論文を探しても見つからず、差別的な固定観念を増幅させ、女性や女児に対する性暴力を助長するマンガ・アニメ・ゲームとは具体的にはどのようなものを指すのか、なども示されていない。

今回の陳情における総務委員会での陳情者に対する質疑で、私は過去の女子差別撤廃委員会の勧告を例にあげ創作物に対する懸念について質問をした。その際に陳情者は「表現の自由に関することですね」と発言、松戸市のVTuber戸定梨香さんを例にあげ、こうしたキャラクターは公で利用されることは到底認められないし、国連がダメといえば当然ダメであるという見解を示した。また、女性にとって大きなメリットがあるので小さなデメリットは気にする必要はないとも発言。

このことからも、これらの制度が実現すれば表現の自由、特にマンガ、アニメ、ゲームなどのコンテンツに大きな影響を与えることになることは明白ではないだろうか。

武蔵野市は商工会議所を中心に「アニメノマンガノムサシノ」という事業を展開。コンテンツ産業で市を盛り上げようとしているところだ。また、先日は第2回のTOKYO INDIE GAMES SUMMITも開かれた。盛り上がりつつあるこうした事業も国連からの「外圧」で萎縮させられてしまう事態は容認できない。私は女性にとっての大きなメリットは必要と考えるが、だからといって小さなデメリットを誰かに押し付けることには賛成できない。

女性に対する不当な差別や格差、これは無くしていくべきだし力を入れて進めるべきであるが、創作物には被害者はいない。分けて考える必要がある。

以上の理由で「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書」提出に関する陳情には反対をしたが残念ながら賛成多数で採択という結果となった。

 女性差別撤廃条約選択議定書(以下「選択議定書」)は、女性に対するあらゆる 形態の差別の撤廃に関する条約(以下「女性差別撤廃条約」)の制定から20年経た 1999年、女性差別撤廃条約の実効性を強化し一人一人の女性が抱える問題を解決す るために、改めて国連総会で採択されました。選択議定書には「個人通報制度」と 「調査制度」の二つの手続があり、それらを利用するには、新たに批准が必要で す。現在では、日本を含めた女性差別撤廃条約の締約国189か国中115か国が選択議 定書を批准していますが、日本はまだこれを批准していません。
 「個人通報制度」は、女性差別撤廃条約で保障されている権利が侵害され、国内 での救済を求める手続が尽くされた後も権利回復がなされない場合に、女性差別撤 廃委員会に個人が通報し救済を求めることができる制度です。また、「調査制度」 は、女性差別撤廃委員会が女性差別撤廃条約に定める権利の重大または組織的な侵 害があるという信頼できる情報を得た場合に、女性差別撤廃委員会自ら当該国の協 力の下で調査し、その調査結果を意見や勧告とともに当該国に送付する制度です。
 SDGsの17の目標の第5は「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児 のエンパワーメントを図る」となっています。しかし、日本は各国の男女平等度を 示すジェンダー・ギャップ指数は146か国中125位であり、順位は2006年の公表開始 以来、最低でした。分野別に見ると、政治が138位、経済が123位で男女格差が埋 まっていないことが改めて示されました。男女平等の実現は、いまだ途上にあると 言えます。セクシュアル・ハラスメントやDV、性暴力、同一労働における男女の 賃金格差、非正規雇用の女性割合の大きさなど女性に対して不利な扱いが繰り返さ れている事実は、日本における男女差別の根深さを物語っています。政府は、第5 次男女共同参画基本計画で「女性差別撤廃条約の選択議定書については、諸課題の 整理を含め、早期締結について真剣な検討を進める」としています。
 日本が選択議定書を批准することは、女性だけでなく全ての人が尊重される社会 をつくり、男女平等推進社会の実現に向けての重要な一歩です。よって、武蔵野市 議会において、国会及び政府に対して選択議定書の早期批准を求める意見書を提出 していただきたく、ここに陳情いたします。

陳情
https://drive.google.com/file/d/1W9-F2wgprMutGTPczR31eh3gQ4VCt2IL/view?usp=drive_link

意見書
https://drive.google.com/file/d/1itLAtGn3B_KAj4QRFOCuY8wGnwGvfnNt/view?usp=drive_link

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