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武蔵野市中学生議会の提案と課題|一般質問で取り上げたゴミ箱設置と公園整備

中学生議会

中学生議会からの提案を一般質問に ― ゴミ箱設置と公園づくりについて

先日、武蔵野市で中学生議会が開催された。市内各校の代表が議場に集い、普段から感じている地域の課題や、市政に対する要望を提案する場である。今年の中学生議会でも、いくつかの注目すべき提案が示された。その中でも特に印象に残ったのが「ゴミ箱の設置」と「公園環境の充実」に関するものだった。

私はその声をそのままにせず、定例会の一般質問で市長に直接問いかけた。単なる教育イベントに終わらせず、実際の政策議論に結びつけることが、中学生の真剣な取り組みに応える責任だと考えたからだ。

中学生の提案の内容

中学生たちからの具体的な提案は次の三つに整理できる。

  1. 吉祥寺駅周辺や公共空間へのゴミ箱設置
     サリン事件以降、全国的に撤去されたゴミ箱の影響で、駅前や繁華街ではポイ捨てが常態化している。中学生はその現実を敏感に受け止め、透明型や投入口工夫型のゴミ箱を導入すれば、安全性と家庭ごみ持ち込み対策の両立が可能ではないかと提案した。
  2. ユニバーサル遊具の拡充
     障害の有無や年齢、国籍を問わず誰もが一緒に遊べる遊具を増やすべきだという意見。多様性を尊重する社会のあり方を、公園という日常的な場から体現しようとする発想である。
  3. 屋根付き公園や日よけスペースの設置
     炎天下や急な雨でも安心して過ごせる場を整えてほしいという要望。熱中症対策だけでなく、親子連れや高齢者も利用しやすい公共空間づくりにつながる。

いずれも「子どもの思いつき」などではなく、市民生活の実情を踏まえた現実的な提案である。

一般質問でのやり取り

私は定例会において、市長に次の三点を正面から問いかけた。

  • ゴミ箱設置の可能性と具体的工夫
  • ユニバーサル遊具の拡充の方向性
  • 屋根付き公園・日よけスペース整備の必要性

市長からは「趣旨は理解できる」という答弁を得た。しかし同時に、テロ防止、家庭ごみ持ち込み対策、財政的負担、維持管理の体制など、課題が山積していることも明らかになった。すぐに実現可能な話ではないが、否定ではなく「検討の余地あり」とされたことには意味がある。

中学生議会の課題

一方で、中学生議会そのものの仕組みには根本的な課題がある。現在の制度では、各校に担当議員がつき、テーマや質問の作成に深く関わる。そして本番の議場では、その議員が中学生の質問に対して答弁役を担う。

だが議員には執行権がない。政策を動かすのは市長と執行部である。つまり中学生が本当に向き合うべき相手は執行部なのに、制度設計上は「議員同士が茶番的な質疑応答を演じる場」になってしまっている。これでは中学生の声が本来の相手に届かず、「議会をやりました」というアリバイ作りに終わってしまう。

私は特に、答弁のあり方に強い問題意識を持っている。中学生が真剣に考え抜いた質問に対して、できるともできないとも言えない議員が曖昧な答弁を返すのは失礼だ。本来は執行権を持つ市長や執行部が答弁すべきである。中学生の真剣さに対して責任ある立場が答えることで初めて、制度は教育的にも行政的にも意味を持つ。

議運での議論と成功例

私はこうした問題点を議会運営委員会でも指摘したことがある。その際、委員長からは「議員が言っても実現しないのに、子どもが言うと実現できてしまうこともある」との言葉が返ってきた。

確かに一見理不尽だが、事実でもある。武蔵野市では過去に、中学生の提案から「ベビーカー貸出サービス(ベビ吉)」が実際に実現した事例がある。子どもたちの純粋な声が、行政を動かす力を持つことは否定できない。

私はむしろ、それで良いと考える。中学生自身が市政に意見を反映し、成功体験を得ることこそが最大の意義だ。議員の側から見れば「嫉妬」にも似た感情が生まれるのかもしれないが、そんなものに構っている暇はない。政策が一歩でも前に進み、市民の暮らしが少しでも良くなるのであれば、それは価値ある成果だ。

評価と展望

中学生議会には光と影がある。

  • 光は、子どもたちが現実の市政課題を突く提案を行い、時にそれが実現に結びつくこと。
  • 影は、制度が形骸化し、形式的な「教育イベント」に留まってしまうこと。

今後必要なのは、アリバイ作りで終わらせないための制度改善だ。執行部が直接答弁する仕組みや、提案の実現度を検証するフォローアップ体制を導入すれば、中学生議会はより実効性のある制度になりうる。

今後に向けて

今回のやり取りを通じて、中学生の提案は決して子どもの夢物語ではなく、市政の核心に迫る現実的な視点であることが改めて確認できた。

実現には財源や管理体制、社会的合意形成など課題は多い。しかし、市民の声や利用実態を踏まえつつ少しずつでも前に進める必要がある。中学生の声と市民の声を重ね合わせていけば、武蔵野のまちはさらに豊かに育っていくはずだ。

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