北朝鮮によるミサイル発射のニュースを見聞きすることが増えている。特に今年に入ってからは加速度的に増加。今年に入りすでにその発射実験は40回程度行われている。数にすると90発以上も発射されているとのことだ。
そんな折に東京都の国民保護法に基づく緊急一時避難施設に都立武蔵高等学校・附属中学校が指定された。この指定は武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第148条第1項の規定に基づき、ミサイル攻撃等の爆風などから直接の被害を軽減することを目的に、既存のコンクリート造り等の堅ろうな建築物や地下施設が指定される。わかりやすく言えば、ミサイルが落ちてくる危険がある時に、一時的に避難する施設だ。指定を受けた都立武蔵高等学校・附属中学校のほかに、市内には26ヶ所の一時避難施設が指定されている。一時避難施設は次の通り。
- 市立小中学校 全18校
- 高齢者総合センター
- 高齢者総合福祉施設 吉祥寺ホーム
- 特別養護老人ホーム ゆとりえ
- 武蔵野市桜堤ケアハウス
- ぐっどうぃる境南
- 北町高齢者センター
- 障害者総合センター
- 武蔵野市障害者福祉センター
果たして一時避難施設はこれで足りるのか。そんな疑問をきっかけに武蔵野市国民保護計画について質疑を行った。
■ 結論から言えば一時避難施設の数は足りている
答弁によれば、一時的な避難ということで、国は一人当たりに必要な面積を約0.9平方メートルと定めており、市内で指定されている施設の総面積を人口で割ると条件はクリアしているとのことだ。したがって数字の上では全市民が避難できる計算だ。
昼間人口や夜間人口の違いもあれば、一時避難施設までの距離なども気になるし、地図にプロットしてみると三鷹駅の北口周辺が少し空白になっているようにも感じたのだが、本当に避難が必要となった時には一時避難施設の指定がなされていなくても、堅ろうな建築物なら自宅でも良いのだ。地下のある施設、商業施設や駅施設と避難に適した施設は市内に多くあるので問題はないと考える。
■ 必要なのは周知や訓練
例えば、堅ろうな建築物の中に避難をしても窓の近くにいては意味はない。こうしたことを市民に周知することも大切だし、そのためには訓練も必要を行うことも必要だ。武蔵野市国民保護計画ではさまざまな事態が想定されており、そうした事態への備えるための訓練についても書き込まれている。
市は、近隣市区町村、都、国等関係機関と共同するなどして、住民、地域の団体及び事業者の自発的な参加を得て、国民保護措置についての訓練を実施し、武力攻撃事態等における対処能力の向上を図る。
武蔵野市国民保護計画 第2編 第1章 第6研修及び訓練 市における訓練の実施
訓練の実施にあたっては、具体的な事態を想定し、防災訓練におけるシナリオ作成等、既存のノウハウを活用するとともに、警察、消防、自衛隊等との連携による、NBC攻撃等により発生する武力攻撃災害への対応訓練、広域にわたる避難訓練、地下への避難訓練等武力攻撃事態等に特有な訓練等について、人口密集地を含む様々な場所や想定で行うとともに、実際に資機材や様々な情報伝達手段を用いるなど実践的なものとするよう努める。
非常に大がかりな訓練になると思うが、これだけの訓練を行う必要がある。現状では満足いく形で実施しているとは言い難い。
日常的な防災訓練で警察と消防とはそれなりに十分な連携が行われていることはわかる。問題は自衛隊との連携だ。確かにはらっぱ防災などでは自衛隊の協力を得て、炊き出しや車輌展示なども行われる。しかしここではNBC攻撃等に対応する必要がある。
NBC攻撃とはN(nuclear weapon)核兵器・B(biological weapon)生物兵器・C(chemical weapon)化学兵器による攻撃を意味する。防災訓練とは別に、自衛隊の中でもこうした事態に対応する部隊との連携訓練を行う必要があるのではないだろうか。また広域にわたる避難訓練や地下への避難訓練を行う必要もあると考える。
■ 訓練の実施に向けて
今回の質疑では決定的に何かを進めるといった答弁には至らなかったが、質問後に担当部長と意見交換を行ったところ、指摘した訓練の必要性については強く感じたとのことだ。また、市が自衛隊と連携した訓練を行う姿を市民に見せることも安心につながるのではないかということだ。
また自衛隊も災害対応で自治体間連携が進む一方で、武力攻撃に対して自治体と連携するノウハウや経験はほとんど持ち合わせていないとのことで訓練の必要性を訴えている。今後は訓練を通じての相互の情報共有や対応力強化は重要かつ必須になってくるだろう。今後も市に対して強く求めていきたい。