
武蔵野市議会、選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書を可決
2025年3月27日、武蔵野市議会は「選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書」を賛成多数で可決した。日本で唯一、夫婦同姓を義務付ける国としての現状を改め、個人の多様な価値観やライフスタイルを尊重する制度の実現を国に求める内容となっている。
約50年の議論を経て、いまだに制度化されない現状
選択的夫婦別姓制度を巡る議論は、法制審議会が民法改正案を答申した1996年(平成8年)にさかのぼる。答申から29年が経過した現在も、国会での審議は進んでいない。その間、婚姻届を出さずに暮らすカップルが増え、事実婚や旧姓使用などによる社会的混乱も指摘されている。
経済界や労働団体も制度導入を支持
意見書では、女性活躍の推進や国際的な業務上の利便性の観点からも、選択的夫婦別姓制度の必要性が強調された。戸籍上の姓とビジネス上の旧姓が異なることでトラブルが発生する実例もあり、経済界や労働団体からも導入を求める声が相次いでいる。
また、婚姻件数や出生数が記録的な低水準となるなかで、「やれることは何でもやる姿勢を見せることが、若い世代にとって希望となる」との指摘もある。
制度の趣旨は「選択肢の拡大」
この制度は、夫婦のどちらかが同じ姓を名乗る現行制度を残しつつ、希望する場合は別姓を選択できるようにするもの。強制ではなく、あくまで「選択できる」ことを主眼としている。意見書は、「同姓を望む人々を排除する制度ではない」と明確に記載しており、誤解の払拭にも配慮がなされている。
法制化を国に求める
意見書は、平成8年の法制審議会の案に基づき、速やかに法制化を進めるよう、衆参両院の議長、内閣総理大臣、総務大臣、法務大臣、内閣府特命担当大臣(男女共同参画)宛てに提出される。
選択的夫婦別姓制度は、個人の尊厳と多様性を尊重する現代社会にふさわしい制度であり、地方議会からのこうした声が、国政に反映されるかが注目される。
参考リンク
令和7年 議員提出議案 – 武蔵野市議会