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武蔵野市に児童相談所が新設へ|多摩中部児童相談所(仮称)説明会まとめ

武蔵野市内に児童相談所(仮称:多摩中部児童相談所)を設置する計画について、東京都による説明会が開かれた。以前、東京都より多摩地域に3カ所の児童相談所を新設するとの再編素案が示されたが、それがいよいよ形になる。

東京都多摩府中保健所 武蔵野三鷹地域センターの外観。多摩中部児童相談所(仮称)設置予定地
多摩中部児童相談所(仮称)の設置が予定されている武蔵野三鷹地域センター(東京都多摩府中保健所)

まず前提として、武蔵野市には現在、児童相談所がない。所管は東京都の杉並児童相談所で、杉並区南荻窪に所在し、杉並区・武蔵野市・三鷹市を管轄している。武蔵野市内で発生する子ども家庭に関する相談も、都の児相が市外拠点として担い、子ども家庭支援センター、学校、民生・児童委員、保健センター等と連携しながら対応しているのが現状である。

今回の説明会は、その体制の再編の一環として新設される「多摩中部児童相談所」について、設置場所やスケジュール、整備の考え方を共有する目的で行われた。

児童相談所は「虐待だけ」ではない

東京都の説明では、児童相談所は虐待、非行、障害、不登校など、18歳未満の子どもに関するあらゆる相談を受ける専門機関であり、児童福祉法に基づく行政機関であるとされる。

虐待対応のイメージが強いが、それだけではない。家庭の不和、養育上の困難、生活の不安定さなど、子どもをめぐる幅広い課題に対応する窓口として機能している。

新設の理由は「管轄人口の適正化」

新設の背景として、国が政令で示す設置基準(概ね人口20万~100万、目安は50万人程度)を踏まえ、都内の児童相談所の管轄人口を適正化する方針が説明された。

現状では管轄人口が100万人を超える児相も存在しており、より小さい単位にすることで支援をきめ細かくし、関係機関との調整も含めた対応力を高める狙いがあるという。

この方針のもと、令和4年度に西多摩・町田・多摩中部の各エリアで新設を決定。令和5年度の適地調査の結果、今回の候補地に設置することとなった。

設置予定地は「武蔵野三鷹地域センター」 内部改修で対応

設置予定地は、現在の武蔵野三鷹地域センターの建物で、現状は保健所機能の一部が入っている。改修は外観を活かしつつ、内部の改修を中心に行う予定と説明された。

基本設計の取りまとめの中では、1階に保健所機能、2階に児童相談所機能を配置する方向で検討されている。エレベーター新設などバリアフリー対応、手すり等の整備、車いす用駐車場や駐輪場の整備も予定されている。

また、児童相談所運営指針に基づき、面接室だけでなく心理検査室、心理療法室、プレイルーム等、必要な諸室を設ける計画で、現時点の基本設計では「必要な諸室は確保できる見通し」とされた。

スケジュールは令和11年度開所 工事は令和9年度以降を想定

スケジュールとして示されたのは、以下の流れである。

  • 令和7年度:基本設計(取りまとめ予定)
  • 令和8~9年度:実施設計
  • 令和9年度以降:改修工事
  • 令和11年度:開所予定

資材高騰や工事現場の逼迫などによる費用・工期への懸念が出る中でも、現時点で遅れはなく、東京都として進行管理しながら令和11年度開所を目指すとの説明だった。

工事期間中の影響 保健所は一時移転、市民団体利用は課題に

工事期間中は、現施設の保健所機能が一時移転する予定であり、移転先は令和8年度中に確保を目指して探している段階とされた。現時点では具体的な移転先は未定である。

また、建物が一時的に無人となる見込みで、その間は市民団体の利用もできなくなる。市民団体の活動拠点や備品置き場などについては、「現時点で具体的に動いていない。今後相談させてほしい」という回答に留まった。

ここは地域にとって実務上の論点であり、早期の方針提示が求められる。

一時保護所は併設されない ただし将来的な移転可能性も示唆

説明会で特に重要だったのが、一時保護所(子どもを一時的に保護する生活の場)が、この施設には併設されないという点である。

都内には既に一時保護所が8か所あり、管轄に固定せず、空き状況等に応じて受け入れている。多摩中部児童相談所(仮称)は相談機能を中心に開所し、必要時の一時保護は既存の保護所で対応するという整理だ。

そのうえで東京都は、一時保護機能の重要性を認め、適地が見つかれば「一時保護所を併設した児童相談所」を目指したいとも説明した。ただし、適地は現時点で見つかっておらず、開所後すぐに移転することはないと明言している。

住民側からは「せっかく武蔵野市内にできても、数年で移転してしまうのは残念」という懸念が出たが、都は、個室化・ユニット化など国基準の変化で必要な土地が大きくなっており、簡単には見つからないことを説明した。

災害時の扱いと情報公開への要望

災害時対応については、この施設が避難所に指定されるものではない、という整理が示された。来所者が滞在中に災害が発生した場合は職員が安全に配慮して誘導するが、「避難所機能」を担う建物ではない。

また、基本設計の公開については現段階では難しいとされ、住民からは「事前に形を見たい」「車の動線など生活に関わる部分は早めに共有してほしい」という要望が出た。都は、市役所を通じた意見聴取や担当部署への問い合わせで対応したいと述べている。

武蔵野市との連携 ハードは難しいがソフトで密に

住民側からは、地元自治体との連携を密にする必要性が指摘され、練馬区などで見られる複合機能(都の児相と区市の子ども家庭支援センターが同一建物で一体運用)を検討したか、という質問が出た。

都の回答は、今回は保健所施設への入居という前提で物理的スペースがなく、同一建物内での一体運用は難しい、というものだった。ただし、オンラインの活用、共同面接、共同研修など、ソフト面で速やかな連携を実現したいとしている。

結論:市内設置の意義は大きいが、地域課題の整理と丁寧な情報提供が鍵

武蔵野市に児童相談所が「市内に」置かれることは、アクセスや連携の面で大きな意味を持つ。一方で、運営主体は東京都であり、一時保護所は併設されない。さらに、建物改修に伴う保健所の一時移転、市民団体利用の調整、設計情報の公開と意見反映など、地域側の実務課題も残っている。

今後の焦点は、令和11年度開所までの工程管理だけではない。市民・関係機関が安心できる情報提供の頻度と質、工事期間中の地域利用の代替策、そして市の子ども家庭支援センターとの連携を、現場で機能する形に落とし込めるか。東京都と武蔵野市が縦割りを超えて詰めていけるかが問われる説明会だった。

関連リンク
多摩地域児童相談所の設置場所の選定について(都庁総合ホームページ)

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